家の売却代金を待てないときの「売却つなぎローン」— 売りながら借りて、売却と同時に返済する方法

家の売却と資金需要の時間差を橋でつなぐイメージイラスト

※本記事はプロモーションを含みます。

家を売れば、まとまったお金になる。それは分かっている。

でも、不動産の売却には通常3〜6ヶ月かかります。「支払いは来月なのに」「引っ越しの都合で、売りに出せるのは半年先」——お金が必要なタイミングと、売却代金が入るタイミングは、なかなか一致してくれません。

このギャップを埋めるのが売却つなぎローンです。売却活動を進めながらその不動産を担保にお金を借り、売れたら売却代金でその場で一括返済する。「売りながら借りて、売却と同時に返す」ための短期ローンです。

この記事では、売却つなぎローンの仕組み、実際に商品を提供している会社、かかる費用の試算、そして事前に知っておくべきリスクまでを、中立の立場で解説します。

目次

売却つなぎローンとは — 「売りながら借りる」仕組み

売却つなぎローンは、売却予定の不動産を担保に、売却代金が入るまでの期間だけ借りる短期の不動産担保ローンです。一般的な特徴は次のとおりです。

  • 返済期間が短い: 6ヶ月〜2年程度。長く借りるためのローンではありません
  • 月々の支払いは利息のみ: 元金は最終期日に一括返済(期限一括返済)
  • 返済原資は売却代金: 家が売れた決済日に、代金から元金をまとめて返します
  • 審査は「物件の価値」中心: 収入よりも、担保となる不動産がいくらで売れそうかが重視されます

利用の流れ(5ステップ)

  1. 査定 — 不動産がいくらで売れそうかを把握する(借入可能額の目安もここで決まります)
  2. 申込・審査 — 貸主が物件を調査し、担保評価に基づいて融資額・金利を提示
  3. 融資実行 — 物件に抵当権を設定し、資金を受け取る。売却活動はそのまま継続
  4. 売買契約 — 買主が見つかり、売買契約を締結
  5. 決済・一括返済 — 引き渡しの決済日に、買主が支払う代金からローンを完済し、抵当権を外して物件を引き渡す

「売却と同時に返済」は決済日にまとめて行われる

「借金の担保になっている家を売れるの?」と不安に思うかもしれませんが、これは不動産取引ではごく標準的な実務です。

決済日には、買主の代金支払い → その場でローン完済 → 抵当権の抹消登記と所有権移転登記を司法書士が同日に申請、という一連の手続きが一度に行われます(同時決済)。住宅ローンが残っている家の売却も、実は全国で毎日この方法で行われています。売主が事前にやることは、金融機関への完済予定の連絡と必要書類の準備で、実務は不動産会社と司法書士が段取りします。

どんな人に向いているか

売却つなぎローンが選択肢になるのは、次のようなケースです。

  • 売却代金を待てない資金需要がある — 納税、医療・介護費用、事業や生活の資金など、支払期日が売却完了より先に来る
  • 引っ越しやリフォームの都合で、売り出しが先になる — 住みながら売るのが難しく、転居後に売却したい。転居費用や新居の初期費用を先に確保したい
  • 住み替えで「買い先行」にしたい — 新居の購入代金を先に支払う必要がある(このケースは選択肢が少し異なるため、別記事で詳しく扱います)
  • 相続した不動産を売る予定だが、相続税の納付期限が先に来る — 相続税は10ヶ月以内の納付が原則です

共通するのは「売る意思は固まっているが、お金が必要な時期のほうが早い」こと。逆に、売るかどうか迷っている段階の人や、長期間借りたい人には向きません(記事後半の「向かない人」参照)。

売却つなぎローンを提供している主な会社(2026年7月時点)

売却つなぎ専用の商品は、銀行ではほとんど扱いがなく、ノンバンク(貸金業者)中心の市場です。公式サイトで条件が確認できた主な商品を挙げます。

商品 / 会社 金利(年) 融資額 期間 主な特徴
不動産売却前提ローン / セゾンファンデックス 固定 3.65〜9.9% 500万〜5億円 最長2年 全国対応(一部地域除く)。事務手数料は融資額の1.65%以内。期間延長は不可
売却つなぎローン / SBIエステートファイナンス 3.70〜7.80% 500万〜10億円 12ヶ月 資金使途は原則自由。対象は首都圏1都3県+関西2府4県のみ
売却物件ローン / 新生インベストメント&ファイナンス 変動 3.20〜6.15% 1,000万〜10億円(個人は上限5億円) 1年(延長は要相談) 今回確認した専用商品では最も低い金利帯だが変動金利(短プラ連動・年2回見直し)。SBI新生銀行グループ
不動産売却つなぎローン / L&Fアセットファイナンス 3.55〜5.90% 1,000万〜10億円 最長2年 繰上返済の違約金なし。最低1,000万円からとやや大口向け
買替つなぎ融資 / 三井のリハウス(SBIアルヒ提供) 4.4% 300万円〜 最長12ヶ月 住み替え(買い先行)専用。購入・売却とも同社仲介を利用することが条件

※金利・条件は2026年7月19日時点の各社公式サイトの表示です。実際の適用条件は物件・審査により異なるため、必ず各社の最新情報を確認してください。当サイトは特定の金融機関への申込を勧誘するものではありません。

このほか、「元金据置・期限一括返済プラン」のある通常の不動産担保ローン(日本保証など)を、実質的な売却つなぎとして使う方法もあります。

費用はいくらかかる? — 「金利」より「手数料」が重い

売却つなぎローンのコストで見落としがちなのは、金利そのものより固定費としてかかる諸費用です。

試算例: 1,000万円を6ヶ月借りる場合(金利年5.0%・事務手数料3.3%と仮定)

項目 金額
利息(1,000万円 × 5.0% × 6/12) 約25万円
事務手数料(1,000万円 × 3.3%) 約33万円
登録免許税(抵当権設定・債権額の0.4%) 約4万円
司法書士費用・不動産調査料・印紙代など 約10〜15万円
合計 約72〜77万円

半年で約75万円。年率に換算すると約15%相当になります。「金利5%なら安い」と感じた印象とはかなり違うはずです。事務手数料や登記費用は借入期間が短くても満額かかるため、短期利用ほど実効コストの年率は上がります。

それでも、消費者金融(年15〜18%が一般的)より低コストで数百万〜数千万円単位を調達でき、カードローンでは届かない金額に対応できるのがこの商品の存在意義です。「コストを払ってでも時間を買う価値があるか」が判断基準になります。

借りる前に知っておくべき3つのリスク

リスク1: 期日までに売れなかったら

最大のリスクはこれです。売却つなぎローンは期日一括返済で、たとえばセゾンファンデックスは「返済期間の延長はできません」と明記しています。期日までに売却が成立しなければ、自己資金や別の借入で返すことになり、それもできない場合、最終的には担保権の実行(任意売却や競売)に至る可能性があります。

対策: 借入期間は「査定価格で売れる想定」ではなく、相場より1〜2割安くしても売り切れる期間+余裕で設定する。さらに確実なのは、借りる前に「買取査定」を取っておくことです(次章で詳しく解説します)。

リスク2: 期日のプレッシャーで安売りになる

返済期日が近づくと、「早く売らなければ」という焦りから大幅な値下げや足元を見た買取価格を受け入れやすくなります。借りた75万円のコストを節約した結果、売却で300万円損をしては本末転倒です。

対策: 借りる前に「最低売却価格」を決めておく。売却戦略(価格設定の考え方は空き家の価格設定ガイド参照)とセットで計画する。

リスク3: オーバーローン(売却代金で返しきれない)

売却代金が「住宅ローンの残債+つなぎローンの元利+諸費用」を下回ると、差額を自己資金で埋める必要があります。既存のローン残債が多い物件では特に注意が必要です。

対策: 借りる前に、残債・つなぎ元利・仲介手数料・税金(売却時の税金ガイド参照)をすべて差し引いた手取り額を試算する。

借りる前の安全策 — 「買取査定」で返済の下限ラインを確保しておく

期日リスクを構造的に消す方法があります。つなぎローンを借りる前に、仲介の査定と合わせて「買取査定」も取っておくことです。

買取査定とは、不動産会社が「この価格ならいつでも直接買い取る」と提示する金額です。市場で買主を探す仲介と違い、期日どおりに、確実に現金化できる価格という意味を持ちます。一般に市場価格の6〜8割程度になりますが、この金額が分かっていれば、つなぎローンの計画は次のように組めます。

  1. 借入額を「買取査定額から諸費用・既存残債を引いた金額」以内に抑える — こうしておけば、期日までに仲介で売れなくても、最後は買取に切り替えて確実に完済できます。返済不能リスクが構造的になくなります
  2. 二段構えのタイムラインを決めておく — 例: 借入期間12ヶ月なら、最初の8〜9ヶ月は仲介で市場価格の売却を狙い、残り3ヶ月を切ったら買取に切り替える、という撤退ラインを最初に設定する
  3. 焦りによる安売りも防げる — 「最悪でも買取価格では売れる」という下限が見えていると、期日前の値下げ交渉でも冷静に判断できます

つまり買取査定は「使うかどうか分からない保険」ではなく、借入額の設計図そのものです。仲介査定(上限の期待値)と買取査定(下限の確定値)の両方が揃って、はじめて安全なつなぎローンの計画が立ちます。

買取査定は、空き家・中古戸建てを直接買い取る専門業者で無料で受けられます。たとえばラクウル(株式会社ネクサスプロパティマネジメント)は空き家・中古戸建ての買取専門で、査定を受けても売却の義務はありません。申込後に物件確認の連絡(電話またはメール)があるので応答してください。
その場でわかる査定金額!空き家・中古戸建ての買取専門店【ラクウル】

なお、共有持分・再建築不可・事故物件などのいわゆる「訳あり物件」は、そもそも仲介での売却が長期化しやすく、つなぎローンの期日リスクが最も高いケースです。この場合は最初から専門買取業者への売却を軸に検討するほうが合理的です(訳あり物件の売却方法は別記事で詳しく解説します)。

売却つなぎローンが向かない人と、他の選択肢

次に当てはまる場合は、つなぎローン以外の方法を検討したほうが合理的です。

  • 最速で現金化したい・売れ残りリスクを取りたくない買取。仲介より価格は下がりますが、数週間で現金化でき、期日リスクがありません。「つなぎのコストとリスク」対「買取の価格差」の比較になります
  • 本当は手放したくない・住み続けたいリースバック(売却して賃貸で住み続ける)や不動産担保ローン(所有したまま長期で借りる)。それぞれ別の注意点があるため、個別の記事で解説します
  • 売るかどうかまだ決めていない → まず査定で「いくらで売れるか」を知ってから判断を。金額が分からないまま借りると、返済計画そのものが立ちません

【資金化の選択肢 早見図】
手放してよい ┬ 待てる → 通常売却
├ 待てない → 売却つなぎローン(本記事)
└ 最速がいい → 買取
手放したくない ┬ 住み続けたい → リースバック
└ 所有は維持 → 不動産担保ローン

最初の一歩は「いくらで売れるか」を知ること

売却つなぎローンの借入可能額は、担保となる不動産の評価額——つまり「いくらで売れそうか」でほぼ決まります。返済計画も、期日リスクの見極めも、すべての出発点は売却想定価格です。

つなぎローンを検討する前に、まず所有不動産の現在価値を把握しておきましょう。当サイトの60秒AI査定なら、物件情報の入力だけで売却想定価格の目安をその場で確認できます。「借りる・売る・買取」のどれが得かは、この金額が分かって初めて比較できます。

そのうえで、借入額を決める前に買取査定も取り、「上限(仲介での期待値)」と「下限(確実に売れる価格)」の両方を揃えてから計画を立てる——これが、売却つなぎローンを安全に使う手順です。

よくある質問

Q. 住宅ローンが残っている家でも借りられますか?
A. 残債と担保評価額の関係次第です。担保評価額から残債を引いた余力の範囲での融資となるのが一般的で、残債が多い場合は借入可能額が小さくなるか、審査に通らないことがあります。

Q. 収入が少なくても(年金生活でも)借りられますか?
A. 売却つなぎローンの審査は物件の担保価値が中心で、月々の返済は利息のみのため、収入基準は通常の住宅ローンより緩やかな傾向があります。ただし審査基準は各社異なり、確実に借りられる商品は存在しません。

Q. 空き家や地方の物件でも担保になりますか?
A. 物件によります。流動性の低い(売れにくい)物件は担保評価が出にくく、審査に通らない場合があります。その場合は売却(買取含む)を先に検討するほうが現実的です。空き家の担保評価については別記事で詳しく解説予定です。

Q. 抵当権が付いたままで売却活動をして、買主に嫌がられませんか?
A. 問題ありません。決済日に抵当権を抹消する前提の取引は標準的な実務で、買主側の不利益はありません。売買契約書に「引き渡しまでに抵当権を抹消する」旨を記載するのが通例です。


本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品への申込を勧誘するものではありません。金利・手数料等の条件は2026年7月19日時点の各社公式サイトに基づいており、変更される場合があります。借入の判断は各社の最新の商品説明書をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

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