空き家を売る完全ガイド — 5つの段階と、買い叩かれないための順番

実家を売る。そう決めた、あるいはほとんど決めている。でも何から始めればいいのか、誰に頼めばいいのかが分からない——この記事は、そんなあなたに向けて書いています。

先に結論です。空き家の売却は、次の5つの段階で進みます。

  1. 相場を知る(自分だけで)
  2. 出口を選ぶ(売り方は5つある)
  3. 業者を選ぶ(査定額の高さで選ばない)
  4. 契約して売り出す
  5. 引き渡して、税金を片づける

大事なのは順番です。多くの人は「まず不動産屋に相談」から始めます。しかし相場を知らないまま業者に会うと、出てきた金額が高いのか安いのか、判断のしようがありません。最初の一歩は業者探しではなく、自分だけで相場を知ることです。

なお、読み進めて「やっぱりまだ決めきれない」と感じたら、それもひとつの答えです。売らずに管理を続ける、貸す、無償で手放すという道もあります。この記事は「売る」と決めた人向けの手順書ですが、決断を急がせるものではありません。

業者に会う前に、相場という防具を。
60秒AI査定を試す — 連絡先の入力は不要。結果はその場で表示され、誰にも知られずに相場が分かります。営業電話もかけません。

段階1: 相場を知る — 業者に聞く前に、自分で

「相場を知るには業者に聞くしかない。でも業者には警戒している」。この矛盾で止まっている人はとても多いです。実際には、業者に会わずに相場を調べる方法が3つあります。

  • 不動産ポータルの売り出し情報: アットホームやスーモなどで近所の似た家の売り出し価格が分かります(実際に売れる価格より高めに出がちです)
  • 国土交通省の不動産情報ライブラリ: 実際に売れた価格(成約事例)を無料で検索できます
  • AI査定: 住所と面積などから、上のようなデータをもとに自動で概算を出します

ここで知りたいのは1円単位の正確な金額ではありません。「だいたい300万円なのか、1,000万円なのか」という桁感です。この桁感があるだけで、次の段階の判断と、業者との会話が全く変わります。

つまずきポイント: いきなり一括査定サイトに電話番号を入力してしまうこと。多くの一括査定は入力情報を複数の業者に送る仕組みで、直後から営業電話が集中します。相場を知りたいだけの段階で使う道具ではありません。

段階2: 出口を選ぶ — 売り方は5つある

「売る」と一口に言っても、出口は5つあります。どれが良い・悪いではなく、家の状態とあなたの事情で向き不向きが決まります。詳しい比較は後の表にまとめますが、分かれ目はシンプルです。

  • 市場価格で売れそうな家 → 仲介(業者が買い手を探す)
  • とにかく早く・確実に手放したい → 買取(業者が直接買う。価格は市場の6〜8割ほど)
  • 値段がつきにくい家 → 個人売買無償譲渡も現実的な選択肢

つまずきポイント: 仲介しか知らずに始めてしまうこと。値段がつきにくい家を仲介で売り出すと、1年以上売れないまま固定資産税と管理だけが続く、ということが起きます。

段階3: 業者を選ぶ — 査定額の高さで選ばない

ここが、このガイドで一番伝えたいことです。査定額が一番高い業者を選んではいけません。

査定額は「売れる保証額」ではなく、業者の営業ツールでもあります。あなたと契約を取るために、根拠の薄い高値を出す業者がいます。高値で預かって売れず、数ヶ月後に「反響がないので」と値下げを迫る。業界で「高預かり」と呼ばれる手口です。時間を失ったうえ、結局は相場以下で売ることになりかねません。

選ぶ基準は、金額ではなく「根拠と誠実さ」です。見分けるための3つの質問を、後の章にまとめました。

つまずきポイント: 1社目の話だけで決めてしまうこと。最低2〜3社と話し、段階1で得た自分の相場感と照らして選んでください。

その査定額、根拠を確かめられますか。
業者の提示額と見比べる「自分だけの基準」を先に持っておく——
60秒AI査定を試す(連絡先不要・その場で結果表示・営業電話なし)

段階4: 契約して売り出す

業者を決めたら、媒介契約(=販売活動を頼む契約)を結びます。種類は3つです。

  • 一般媒介: 複数の業者に同時に頼める
  • 専任媒介: 1社に絞る。業者は活動報告の義務を負う
  • 専属専任媒介: 1社に絞り、自分で買い手を見つけることもできない

1社に絞ると業者は熱心に動きやすい反面、リスクもあります。それが「囲い込み」(=他社からの買い手を断り、売主と買主の両方から手数料を取ろうとする行為)です。売れるのが遅くなり、価格も伸びません。防ぎ方は次章の質問3で説明します。

売り出し後は、内覧の対応と価格交渉が続きます。仲介の場合、売り出しから成約まで3〜6ヶ月が目安です。

つまずきポイント: 家の中の荷物です。仏壇、アルバム、親の遺品。ここで手が止まり、売り出しが半年遅れる人が実際に多くいます。業者選びと並行して、荷物の始末を先に進めておくと後が楽になります。

段階5: 引き渡して、税金を片づける

買主と売買契約を結び、代金を受け取り、鍵を渡して引き渡し完了です。ただし、もうひとつ残っています。売って利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の2〜3月に確定申告が必要です。

相続した実家なら、条件を満たすと利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。期限は「相続した日から3年が経つ年の、12月31日まで」。期限を過ぎると数百万円単位で税額が変わりうるので、相続した家を売る人は最初に確認してください。

つまずきポイント: 「利益なんて出ない」と思い込んで申告を忘れること。親が買った時の価格が分からない場合、売値の95%が利益として扱われることがあります。特例を使うにも申告は必要です。

売り方5択の比較表

売り方 向く人 期間の目安 費用感
仲介 市場価格で売りたい。3〜6ヶ月待てる 3〜6ヶ月 仲介手数料(売買価格の3%+6万円+税。800万円以下の物件は上限33万円の特例あり)
買取 早く確実に手放したい。荷物ごと引き取ってほしい 2週間〜1ヶ月 手数料なしが多いが、価格は市場の6〜8割ほど
一括査定サイト ※売り方ではなく業者の探し方。複数社と一気に会う覚悟がある人向け 無料。ただし複数社から営業電話が来る前提で使う
個人売買 隣人・知人など買い手がもう決まっている 相手次第 仲介手数料ゼロ。契約書作成や登記の実費が別途(内容により数万円〜)
無償譲渡 値段がつかず、維持費から解放されたい 数週間〜数ヶ月 登記費用など。空き家バンクや譲渡マッチングサービスが窓口

一括査定サイトを表に入れたのは、正直に位置づけを示すためです。あれは売り方ではなく「業者との出会い方」のひとつで、営業電話を受け止める覚悟がある段階で初めて役に立つ道具です。

業者選びで騙されないための3つの質問

初回の面談で、この3つを聞いてください。答え方で業者の質が分かります。

質問1: 「この査定額の根拠になった成約事例を見せてもらえますか」
誠実な業者は、近隣の実際に売れた事例を並べて説明できます。「経験上このくらいです」としか言えない業者の数字は、営業用の数字だと考えてください。

質問2: 「売れなかった場合、いつ・いくらまで値下げする想定ですか」
最初から出口まで考えている業者は、この問いに具体的に答えます。言葉を濁す業者は、高値で預かって後から下げさせる前提かもしれません。

質問3: 「レインズ(=業者間の物件共有システム)への登録証明書をもらえますか」
専任媒介では登録が義務です。証明書を渋る業者は、囲い込みを疑ってよいサインです。

3つとも、聞くのに専門知識は要りません。そして、この質問をする売主だと分かった時点で、業者の対応は変わります。相場を知り、質問を用意していく。それだけで「買い叩きやすい客」ではなくなります。

今日できる一歩

5段階すべてを今週やる必要はありません。今日やるのは段階1だけ、つまり自分だけで相場を知ることです。

業者に会うのはそのあとで構いません。手元に相場感があれば、どの査定額にも、どの営業トークにも、自分の基準で向き合えます。

業者に会う前に、60秒だけ。
60秒AI査定を試す
連絡先の入力は不要で、結果はその場で表示されます。営業電話もかけません。詳しいレポートが欲しくなったら、メールアドレスひとつで受け取れます。家族に見せる資料としてもそのまま使えます。